1 00:00:14,400 --> 00:00:18,920 ‎NETFLIX ‎ドキュメンタリーシリーズ 2 00:00:25,320 --> 00:00:27,920 ‎地球上の ‎全生命の中に残るのは 3 00:00:31,360 --> 00:00:32,240 ‎エコーだ 4 00:00:35,120 --> 00:00:38,880 ‎はるか昔に起きた ‎出来事の数々のエコー 5 00:00:43,680 --> 00:00:45,600 ‎それらは ‎途方もなく壮大で 6 00:00:47,920 --> 00:00:49,400 ‎激烈で美しく 7 00:00:51,440 --> 00:00:54,240 ‎生きとし生けるものの⸺ 8 00:00:56,080 --> 00:00:58,760 ‎全ての行動と 意思決定を 9 00:00:59,440 --> 00:01:00,920 ‎全ての鼓動を 10 00:01:02,920 --> 00:01:05,720 ‎最も壮麗な物語へと集約する 11 00:01:07,760 --> 00:01:12,400 ‎これは 138億年前から ‎今なお続く物語 12 00:01:14,680 --> 00:01:17,160 ‎何十億もの星や 13 00:01:18,240 --> 00:01:20,200 ‎何十億もの世界が 14 00:01:22,240 --> 00:01:25,440 ‎生まれては ‎死に絶えてきた 15 00:01:27,920 --> 00:01:30,520 ‎私たちのよく知る ‎唯一の惑星 16 00:01:32,200 --> 00:01:34,880 ‎生命の家を創るために 17 00:01:39,200 --> 00:01:41,160 ‎私たちを創る星くずから 18 00:01:43,440 --> 00:01:46,640 ‎私たちを生かしている ‎宇宙の成分 19 00:01:52,880 --> 00:01:56,400 ‎そして 全てを可能にする ‎恒星光まで 20 00:01:57,960 --> 00:02:03,360 ‎これは私たちの ‎宇宙の物語である 21 00:02:16,000 --> 00:02:22,000 ‎宇宙: ‎その始まりはどこからなのか 22 00:02:28,000 --> 00:02:32,480 ‎星の光を追って 23 00:02:39,560 --> 00:02:40,800 ‎東アフリカ 24 00:02:41,960 --> 00:02:46,080 ‎タンザニア セレンゲティ 25 00:02:46,160 --> 00:02:50,880 ‎ここには 生命と宇宙の ‎最も重要なつながりがある 26 00:02:54,720 --> 00:02:57,280 ‎非常に特別な捕食者も 27 00:03:00,400 --> 00:03:02,640 ‎その名はワチーニ 28 00:03:06,000 --> 00:03:10,160 ‎チーターの一生は ‎終わりなき食料の探求 29 00:03:12,320 --> 00:03:13,680 ‎生存のためだ 30 00:03:16,120 --> 00:03:21,400 ‎この場所は捕食者にとって ‎最も過酷な場所の一つ 31 00:03:31,000 --> 00:03:34,240 ‎この乾いた荒涼たる平野の ‎ほぼ全ては 32 00:03:34,320 --> 00:03:36,600 ‎強烈な日光に追いやられた 33 00:03:42,800 --> 00:03:46,840 ‎ここに残った生物は ‎生存に苦戦している 34 00:03:51,480 --> 00:03:53,600 ‎ワチーニの唯一の関心 35 00:03:57,360 --> 00:03:59,400 ‎唯一の原動力は 36 00:04:03,000 --> 00:04:04,080 ‎飢えだ 37 00:04:07,800 --> 00:04:10,800 ‎この単純で野生的な衝動は 38 00:04:10,880 --> 00:04:14,560 ‎彼女を囲む環境との ‎深い関係から派生した 39 00:04:15,520 --> 00:04:18,680 ‎その環境は ‎セレンゲティを超え 40 00:04:19,280 --> 00:04:20,840 ‎この地球を超え 41 00:04:22,000 --> 00:04:23,640 ‎宇宙まで及んでいる 42 00:04:29,720 --> 00:04:31,800 ‎ワチーニの全細胞は 43 00:04:34,320 --> 00:04:36,800 ‎太古のエネルギーの流れと ‎結ばれており 44 00:04:39,920 --> 00:04:44,240 ‎それが彼女の命と ‎星の心臓をつないでいるのだ 45 00:04:49,840 --> 00:04:53,640 ‎この途切れぬ流れは ‎広大な宇宙へと広がり 46 00:04:58,240 --> 00:05:02,120 ‎138億年前にさかのぼる 47 00:05:13,200 --> 00:05:18,280 ‎宇宙の誕生時に存在した ‎太古のエネルギーが 48 00:05:20,120 --> 00:05:21,360 ‎全てを動かす 49 00:05:23,200 --> 00:05:24,480 ‎全ての惑星や 50 00:05:26,320 --> 00:05:27,280 ‎全ての恒星 51 00:05:30,480 --> 00:05:31,400 ‎全ての命を 52 00:05:40,200 --> 00:05:42,680 ‎彼女が狙うエネルギー源は 53 00:05:46,080 --> 00:05:47,640 ‎他者のためでもある 54 00:05:49,440 --> 00:05:52,040 ‎5ヶ月の子どもの母として 55 00:05:53,800 --> 00:05:56,880 ‎飢えた家族を養うのに ‎必死なのだ 56 00:06:04,400 --> 00:06:07,520 ‎乾季は食料が不足してしまう 57 00:06:08,920 --> 00:06:12,000 ‎だが エネルギーは ‎溢れる季節だ 58 00:06:15,920 --> 00:06:17,880 ‎姿を隠しているだけ 59 00:06:21,280 --> 00:06:25,680 ‎それは太陽系で最も大きく ‎明るく 熱い物体 60 00:06:28,240 --> 00:06:29,280 ‎太陽である 61 00:06:41,240 --> 00:06:45,600 ‎烈火の如きプラズマが ‎表面から立ちのぼっている 62 00:06:51,960 --> 00:06:55,000 ‎毎秒の放出エネルギーは 63 00:06:55,080 --> 00:06:58,720 ‎原子爆弾にして4.5兆個分 64 00:07:01,560 --> 00:07:04,280 ‎1時間で ‎地球に届くエネルギーは 65 00:07:04,880 --> 00:07:07,960 ‎全世界の年間消費量を上回る 66 00:07:12,520 --> 00:07:16,240 ‎この巨大な火の玉は ‎確かに驚異的だが 67 00:07:18,680 --> 00:07:21,520 ‎太陽光が ‎食べられるわけではない 68 00:07:23,760 --> 00:07:26,320 ‎ワチーニの食料は動物 69 00:07:29,280 --> 00:07:30,680 ‎ガゼルもそうだ 70 00:07:38,760 --> 00:07:44,760 ‎斑点に覆われた毛皮で ‎獲物の至近距離まで近づける 71 00:07:58,040 --> 00:07:59,840 ‎隠れ場所も少ないため 72 00:08:01,160 --> 00:08:03,640 ‎これ以上の接近は難しい 73 00:08:15,640 --> 00:08:18,920 ‎しかし ワチーニには ‎秘策があった 74 00:08:26,280 --> 00:08:29,800 ‎チーターは ‎陸生動物の中で最も俊足だ 75 00:08:32,160 --> 00:08:35,480 ‎3秒で最高速度に ‎到達できるが 76 00:08:37,440 --> 00:08:40,800 ‎足の速さでは ‎ガゼルも負けていない 77 00:08:45,080 --> 00:08:47,280 ‎多くのエネルギーを ‎消費するも… 78 00:08:59,960 --> 00:09:01,280 ‎成果は得られず 79 00:09:05,400 --> 00:09:08,880 ‎成獣はエサなしで ‎1週間以上生きられるが 80 00:09:12,600 --> 00:09:17,120 ‎子どものチーターは ‎数日も もたない 81 00:09:24,080 --> 00:09:29,360 ‎この2匹は ‎ものすごく腹を空かせていた 82 00:09:31,720 --> 00:09:36,240 ‎最後の食事から24時間 83 00:09:37,840 --> 00:09:40,920 ‎高速で走れば ‎その分 消耗も激しい 84 00:09:43,200 --> 00:09:46,480 ‎ワチーニの体力も ‎危機的に低下している 85 00:09:50,680 --> 00:09:54,200 ‎再び狩りをするには ‎数時間の休息が必要だ 86 00:10:00,200 --> 00:10:04,000 ‎エネルギーが枯渇したまま ‎生きている状態だ 87 00:10:22,040 --> 00:10:25,400 ‎地球上の全ての動物も ‎これは同じ 88 00:10:26,480 --> 00:10:27,760 ‎エネルギーを摂取し… 89 00:10:31,320 --> 00:10:32,800 ‎消費する 90 00:10:38,160 --> 00:10:40,000 ‎迅速に捕まえるにしろ 91 00:10:40,080 --> 00:10:41,960 ‎慎重に捕まえるにしろ 92 00:10:47,080 --> 00:10:50,000 ‎次の食事は ‎保証されていないのだ 93 00:10:59,280 --> 00:11:03,400 ‎全ての生命が 飢えを ‎克服しなくてはならない 94 00:11:04,880 --> 00:11:08,640 ‎最後の食事から30時間 95 00:11:12,600 --> 00:11:14,920 ‎エネルギーを取り戻し 96 00:11:15,920 --> 00:11:18,520 ‎次のチャンスを狙う ‎ワチーニ 97 00:11:22,920 --> 00:11:24,400 ‎他の母親と同様 98 00:11:26,040 --> 00:11:27,920 ‎シングルマザーだ 99 00:11:31,680 --> 00:11:33,600 ‎栄養を確保するには 100 00:11:34,320 --> 00:11:36,560 ‎毎日獲物を仕留めるべきだ 101 00:11:38,240 --> 00:11:40,920 ‎しかし回復に ‎時間を消費したため 102 00:11:42,240 --> 00:11:44,080 ‎太陽が沈んでいく 103 00:11:53,720 --> 00:11:55,280 ‎日光とともに 104 00:11:56,480 --> 00:11:58,760 ‎食事への希望も消えていく 105 00:12:05,880 --> 00:12:07,360 ‎地球が周り 106 00:12:09,960 --> 00:12:15,200 ‎光に満ちたセレンゲティは ‎暗闇の世界へと姿を変える 107 00:12:21,520 --> 00:12:24,920 ‎生命と太陽のつながりを ‎強く示す現象だ 108 00:12:29,200 --> 00:12:32,840 ‎私たちの物語は ‎太陽の物語なのだ 109 00:12:35,160 --> 00:12:36,560 ‎はるか昔… 110 00:12:39,760 --> 00:12:44,440 ‎太陽系は ‎今よりも寒く 暗かった 111 00:12:52,680 --> 00:12:56,800 ‎46億年前 112 00:12:56,880 --> 00:13:01,960 ‎しかし ある星の誕生には ‎この条件こそが理想的だった 113 00:13:05,200 --> 00:13:07,760 ‎絶対零度に近い温度で 114 00:13:08,640 --> 00:13:11,960 ‎重力が ‎ちりや ガスを引き寄せ 115 00:13:14,240 --> 00:13:15,760 ‎巨大な雲を作った 116 00:13:22,880 --> 00:13:24,720 ‎雲は内側へと崩れ 117 00:13:24,800 --> 00:13:28,240 ‎輝く 高温の ‎ガス球を形成した 118 00:13:32,240 --> 00:13:33,600 ‎原始星だ 119 00:13:40,880 --> 00:13:45,160 ‎ワチーニのように ‎原始星は猛烈に飢えていた 120 00:13:48,000 --> 00:13:51,320 ‎引き寄せられる膨大なガスで ‎高温の物質が 121 00:13:52,360 --> 00:13:54,760 ‎両極から押し出され 122 00:13:56,280 --> 00:13:58,960 ‎宇宙に向かい ‎遠くへ伸びていった 123 00:14:02,280 --> 00:14:08,320 ‎この出来たばかりの星は ‎3000万年 成長を続けた 124 00:14:19,440 --> 00:14:20,680 ‎そしてついに 125 00:14:21,880 --> 00:14:26,200 ‎それ自体がエネルギーを ‎生成できるほど熱くなった 126 00:14:29,360 --> 00:14:30,320 ‎太陽である 127 00:14:33,280 --> 00:14:37,160 ‎この黄金の光線は ‎46億年もの間 絶え間なく 128 00:14:39,200 --> 00:14:41,640 ‎強烈に輝き続けてきた 129 00:14:47,400 --> 00:14:51,960 ‎無数の銀河の中の ‎たった一つの星 130 00:14:57,360 --> 00:15:00,760 ‎だが 最も特別な星である 131 00:15:03,120 --> 00:15:06,080 ‎熱と光を ‎提供してくれるのだから 132 00:15:08,440 --> 00:15:11,240 ‎この生命に満ちた ‎奇跡の惑星に 133 00:15:16,000 --> 00:15:20,920 ‎最後の食事から42時間 134 00:15:23,680 --> 00:15:27,760 ‎セレンゲティの動植物は ‎太陽の恩恵を受けている 135 00:15:29,800 --> 00:15:34,080 ‎ワチーニの子のエネルギーは ‎枯渇しきっていた 136 00:15:35,160 --> 00:15:37,280 ‎今日 食べなければ 137 00:15:39,000 --> 00:15:44,160 ‎しかし ワチーニが ‎与えられるのは愛情だけ 138 00:15:45,800 --> 00:15:47,520 ‎この乾いた地では 139 00:15:48,040 --> 00:15:52,440 ‎太陽は 与えるだけでなく ‎奪いもする 140 00:15:53,640 --> 00:15:57,120 ‎生命に必要な ‎強烈なエネルギーは 141 00:15:58,320 --> 00:16:02,280 ‎破壊するパワーにも ‎なりうるのだ 142 00:16:06,600 --> 00:16:12,320 ‎巨大原子炉の近くに住むのは ‎決して容易ではない 143 00:16:21,280 --> 00:16:24,160 ‎この熱の源を理解するには 144 00:16:25,360 --> 00:16:28,040 ‎灼熱地獄を ‎のぞかねばならない 145 00:16:37,240 --> 00:16:40,240 ‎高温のプラズマの ‎大気層の下 146 00:16:45,960 --> 00:16:50,120 ‎この65万キロ先には… 147 00:16:54,920 --> 00:16:57,120 ‎太陽のコアがある 148 00:17:00,840 --> 00:17:04,840 ‎太陽の心臓部は ‎意外にも穏やかに見えるが 149 00:17:07,040 --> 00:17:10,880 ‎原子レベルでは ‎カオスそのものだ 150 00:17:14,360 --> 00:17:18,400 ‎これが 太陽系で ‎最も高温の場所 151 00:17:21,000 --> 00:17:24,440 ‎摂氏にして ‎1500万度という超高温が 152 00:17:27,640 --> 00:17:32,200 ‎他の場所では起きない現象の ‎条件を作っている 153 00:17:36,600 --> 00:17:39,560 ‎原子が高速で衝突し ‎融合して 154 00:17:45,160 --> 00:17:47,000 ‎エネルギーを放出する 155 00:17:54,760 --> 00:17:59,040 ‎核融合と呼ばれる ‎このプロセスにより 156 00:17:59,880 --> 00:18:02,320 ‎太陽は輝いているのだ 157 00:18:06,480 --> 00:18:11,120 ‎そして この核融合こそが ‎宇宙全ての星を生かしている 158 00:18:15,200 --> 00:18:19,960 ‎星々の放出するエネルギーは ‎宇宙の始まりの名残だ 159 00:18:25,480 --> 00:18:27,760 ‎物質が存在せず 160 00:18:27,840 --> 00:18:32,080 ‎ただエネルギーのみが ‎宇宙に存在していた時の 161 00:18:35,120 --> 00:18:39,000 ‎その全てのエネルギーは ‎今も宇宙で生きている 162 00:18:46,600 --> 00:18:48,440 ‎セレンゲティを照らす⸺ 163 00:18:49,880 --> 00:18:53,280 ‎138億年 流れ続けてきた ‎エネルギーは 164 00:18:54,880 --> 00:18:58,240 ‎ワチーニと子どもに出会い 165 00:18:59,040 --> 00:19:03,240 ‎この環境における旅を ‎続けていく 166 00:19:04,880 --> 00:19:08,080 ‎創造されもせず ‎破壊されもせず 167 00:19:09,000 --> 00:19:12,840 ‎永遠の転換を ‎ただ繰り返していく 168 00:19:14,240 --> 00:19:18,840 ‎ワチーニたちが受けられる ‎この恩恵の形は一つだけ 169 00:19:23,560 --> 00:19:24,720 ‎肉だ 170 00:19:33,800 --> 00:19:36,400 ‎ここにはライバルも存在する 171 00:19:39,200 --> 00:19:42,120 ‎食料だけでなく ‎子どもをも狙う⸺ 172 00:19:42,200 --> 00:19:43,480 ‎捕食者だ 173 00:19:58,080 --> 00:19:59,960 ‎食料にありつけないと 174 00:20:01,000 --> 00:20:02,480 ‎どのみち死ぬ 175 00:20:23,480 --> 00:20:26,560 ‎少量だが ‎2日の飢えを満たすには⸺ 176 00:20:27,080 --> 00:20:28,480 ‎十分な量だ 177 00:20:32,480 --> 00:20:35,840 ‎だが 獲物の ‎10%以上は盗まれる 178 00:20:40,280 --> 00:20:43,920 ‎確保したエネルギーは ‎守らなくてはならない 179 00:20:47,840 --> 00:20:49,880 ‎エネルギーの不足時は 180 00:20:50,720 --> 00:20:53,200 ‎競争も激しくなるからだ 181 00:20:57,080 --> 00:21:01,320 ‎生存と 家族の存続をかけた ‎ワチーニの苦難は 182 00:21:01,400 --> 00:21:03,440 ‎来る日も 183 00:21:06,040 --> 00:21:07,840 ‎来る月も続いていく 184 00:21:17,880 --> 00:21:21,520 ‎毎回の食事は戦いなのだ 185 00:21:27,320 --> 00:21:30,440 ‎エネルギーを消費し ‎取得する戦いで 186 00:21:32,560 --> 00:21:35,080 ‎ワチーニの戦績は五分五分 187 00:21:40,400 --> 00:21:45,600 ‎セレンゲティの乾季は ‎絶え間ない飢えが続く 188 00:21:52,040 --> 00:21:53,760 ‎しかし変化の兆しが 189 00:21:55,560 --> 00:22:00,680 ‎大気中の水分を ‎太陽の熱が 空高くに集める 190 00:22:05,080 --> 00:22:06,560 ‎それはやがて⸺ 191 00:22:07,880 --> 00:22:11,120 ‎地上に降りる必要がある 192 00:22:14,680 --> 00:22:17,440 ‎雨が 平野を濡らし 193 00:22:18,360 --> 00:22:20,880 ‎乾季は幕を閉じる 194 00:22:26,640 --> 00:22:28,280 ‎雲が晴れ 195 00:22:29,960 --> 00:22:31,760 ‎希望の光が射した 196 00:22:44,120 --> 00:22:47,400 ‎単なる芽は ‎まともな食料とは言えないが 197 00:22:49,920 --> 00:22:54,480 ‎この細胞の奥深くに ‎“飢え”への答えがある 198 00:23:06,520 --> 00:23:09,080 ‎ここは 隠された世界 199 00:23:15,000 --> 00:23:21,600 ‎層をなしたグラナが ‎暖かな太陽光を浴びている 200 00:23:32,800 --> 00:23:37,600 ‎その表面を覆う ‎集光性のタンパク質が⸺ 201 00:23:38,880 --> 00:23:42,720 ‎地球に一番近い恒星の ‎エネルギーを取得する 202 00:23:47,800 --> 00:23:50,720 ‎この中を満たす ‎緑色の葉緑素が 203 00:23:52,400 --> 00:23:55,040 ‎太陽光を吸収するのだ 204 00:24:00,000 --> 00:24:02,240 ‎光合成という仕組みを通し 205 00:24:12,640 --> 00:24:15,200 ‎水と二酸化炭素が合わさり 206 00:24:18,320 --> 00:24:21,360 ‎太陽光は糖へと姿を変える 207 00:24:38,440 --> 00:24:43,160 ‎乾燥した平野は 数日の間に ‎緑色で埋め尽くされた 208 00:24:51,480 --> 00:24:55,440 ‎何十億もの草の葉が ‎無限の太陽光を吸収し 209 00:25:00,480 --> 00:25:04,960 ‎宇宙のエネルギーが ‎平野全体を満たした 210 00:25:10,400 --> 00:25:11,920 ‎だが 問題がある 211 00:25:14,480 --> 00:25:17,000 ‎チーターは草食ではない 212 00:25:22,920 --> 00:25:25,800 ‎しかし 遠く北にある ‎森林地帯には 213 00:25:27,080 --> 00:25:31,080 ‎草を食料とする ‎けものたちがいる 214 00:25:34,080 --> 00:25:36,080 ‎数にして 数十万頭 215 00:25:38,880 --> 00:25:40,120 ‎それがヌーだ 216 00:25:43,120 --> 00:25:48,320 ‎幅広で 柔軟な口と ‎4つの胃を持つヌーは 217 00:25:49,040 --> 00:25:51,920 ‎完璧に 草食に適応している 218 00:26:01,080 --> 00:26:03,880 ‎この大群は 草地を求め⸺ 219 00:26:05,800 --> 00:26:07,640 ‎常に移動を続けている 220 00:26:11,000 --> 00:26:14,080 ‎草を見つけるには 雨を追う 221 00:26:17,800 --> 00:26:19,200 ‎私たちと同様 222 00:26:21,240 --> 00:26:22,840 ‎飢えにかられて 223 00:26:32,000 --> 00:26:34,520 ‎しかし この場所の ‎決まりでは 224 00:26:36,200 --> 00:26:39,080 ‎食料は ‎簡単には手に入らない 225 00:26:48,000 --> 00:26:49,480 ‎これは マラ川 226 00:26:52,120 --> 00:26:55,160 ‎地球上最大のワニの生息地だ 227 00:26:59,080 --> 00:27:00,840 ‎ヌーにとっては⸺ 228 00:27:00,920 --> 00:27:04,080 ‎食料確保の旅における ‎深刻な障害物だ 229 00:27:16,160 --> 00:27:17,640 ‎その南方では 230 00:27:17,720 --> 00:27:22,400 ‎食べられるものを探し ‎ワチーニが さまよっていた 231 00:27:33,000 --> 00:27:36,000 ‎わずかな食料で ‎半年間 食いつなぎ 232 00:27:37,680 --> 00:27:40,160 ‎1匹は立派に成長した 233 00:27:47,720 --> 00:27:50,760 ‎自力での狩りの技能も ‎習得中だ 234 00:27:57,000 --> 00:28:01,200 ‎しかし もう1匹は ‎どこにもいない 235 00:28:07,400 --> 00:28:10,800 ‎成獣になれるチーターは ‎約5%のみ 236 00:28:13,680 --> 00:28:17,600 ‎大半は ライオンや ‎ハイエナの犠牲になる 237 00:28:25,200 --> 00:28:28,880 ‎この子の将来も ‎まだ保証されてはいない 238 00:28:32,880 --> 00:28:36,000 ‎エネルギーは ‎近くに溢れているのに 239 00:28:42,400 --> 00:28:44,360 ‎マラ川の河岸に集合し 240 00:28:45,240 --> 00:28:48,160 ‎前進を迫られたヌーたち 241 00:28:52,080 --> 00:28:55,160 ‎誰かが先陣を切らなくては 242 00:29:34,880 --> 00:29:37,080 ‎150万頭にも及ぶヌーが 243 00:29:38,040 --> 00:29:40,560 ‎毎年 この旅を繰り返す 244 00:29:44,280 --> 00:29:48,560 ‎エネルギーを消費し ‎摂取する戦いが 245 00:29:50,680 --> 00:29:52,680 ‎大規模に繰り広げられる 246 00:30:08,120 --> 00:30:10,840 ‎向こう岸に ‎渡ることができても 247 00:30:12,400 --> 00:30:14,000 ‎それは序の口 248 00:30:23,200 --> 00:30:25,880 ‎何百キロもの距離を ‎2ヶ月間以上 249 00:30:27,800 --> 00:30:28,800 ‎昼夜を通し 250 00:30:30,040 --> 00:30:31,320 ‎移動し続け 251 00:30:34,200 --> 00:30:35,880 ‎草地を目指す 252 00:30:48,600 --> 00:30:52,400 ‎ヌーの到着を ‎今か今かと待ち望むワチーニ 253 00:30:53,920 --> 00:30:58,080 ‎一方で 彼ら両方の生存に ‎不可欠な“移動”が⸺ 254 00:30:58,160 --> 00:31:00,600 ‎始まろうとしていた 255 00:31:03,840 --> 00:31:08,360 ‎計り知れないほどの ‎距離と 時間の旅である 256 00:31:11,640 --> 00:31:17,320 ‎セレンゲティの全ての生物は ‎これなしでは生き残れない 257 00:31:24,200 --> 00:31:26,200 ‎太陽のコアで⸺ 258 00:31:26,280 --> 00:31:28,560 ‎原子が衝突と ‎融合を反復する時 259 00:31:29,360 --> 00:31:34,360 ‎光子が 外側へと放たれる 260 00:31:38,800 --> 00:31:44,000 ‎この小さな光エネルギーは ‎質量を持たず 261 00:31:44,080 --> 00:31:46,080 ‎光速で移動する 262 00:31:47,800 --> 00:31:51,080 ‎想像を絶するほど ‎高密度のコアの中で 263 00:31:51,160 --> 00:31:55,240 ‎光子は拘束され ‎吸収され 散乱するため 264 00:31:58,200 --> 00:32:03,800 ‎本来なら2秒で済む旅が ‎何百万年もかかることがある 265 00:32:10,960 --> 00:32:15,080 ‎太陽からの脱出は ‎拷問のような苦難なのだ 266 00:32:20,000 --> 00:32:23,400 ‎しかし ゆっくりと ‎光子は上っていく 267 00:32:25,200 --> 00:32:27,680 ‎太陽の各層を通過し 268 00:32:29,640 --> 00:32:31,880 ‎燃え盛る表面へ 269 00:32:34,480 --> 00:32:37,200 ‎ついに自由になれる場所へ 270 00:32:40,680 --> 00:32:43,360 ‎光子は ‎全方向へと放射される 271 00:32:45,640 --> 00:32:46,880 ‎恒星光になって 272 00:32:53,720 --> 00:32:59,560 ‎1億5000万キロの距離を ‎わずか8分ほどで移動し 273 00:33:04,880 --> 00:33:06,640 ‎丁度 到着した 274 00:33:09,160 --> 00:33:12,720 ‎ヌーが旅の終わりを ‎迎えた地に 275 00:33:16,400 --> 00:33:22,800 ‎草の葉は 毎秒それぞれ ‎1京個もの光子を吸収し 276 00:33:27,880 --> 00:33:33,480 ‎この大群を養うに足る ‎エネルギーを取得している 277 00:33:43,720 --> 00:33:44,600 ‎恒星から 278 00:33:47,600 --> 00:33:48,560 ‎草の葉へ 279 00:33:52,000 --> 00:33:53,280 ‎そしてヌーへ 280 00:33:59,720 --> 00:34:02,560 ‎太陽光のエネルギーで動き 281 00:34:04,640 --> 00:34:05,480 ‎成長し 282 00:34:07,760 --> 00:34:08,880 ‎生殖する 283 00:34:17,160 --> 00:34:20,200 ‎平野で食べる時間が長いほど 284 00:34:21,040 --> 00:34:24,120 ‎食べられるリスクも高まる 285 00:34:39,880 --> 00:34:45,120 ‎美味しく 栄養に富んだ ‎大量のエネルギーが 286 00:34:45,200 --> 00:34:47,600 ‎ついに射程圏内に 287 00:34:55,800 --> 00:34:58,160 ‎しかし相手は多勢 288 00:35:01,800 --> 00:35:03,880 ‎迅速な狩りが求められる 289 00:35:06,560 --> 00:35:09,320 ‎彼女は 幸運にもチーターだ 290 00:35:59,240 --> 00:36:03,080 ‎ついにワチーニも ‎恒星光を味わうことができた 291 00:36:26,040 --> 00:36:27,480 ‎一口ごとに 292 00:36:27,560 --> 00:36:31,680 ‎宇宙エネルギーに満ちた ‎タンパク質と脂肪が 293 00:36:31,760 --> 00:36:33,680 ‎彼女の血液へ流れ込む 294 00:36:39,840 --> 00:36:44,360 ‎これらが向かう先は ‎いわば細胞の発電所 295 00:36:45,520 --> 00:36:46,720 ‎ミトコンドリアだ 296 00:36:49,080 --> 00:36:52,720 ‎この場所で ‎最後の変換が行われる 297 00:37:00,840 --> 00:37:04,640 ‎各ミトコンドリア内には ‎別世界が広がっている 298 00:37:08,720 --> 00:37:13,000 ‎複雑な化学に基づく ‎膜の渓谷が波打っているのだ 299 00:37:15,080 --> 00:37:19,360 ‎エネルギーに満ちた食料は ‎ここで酸素と反応し 300 00:37:20,160 --> 00:37:21,920 ‎ついに 消化され 301 00:37:28,680 --> 00:37:33,960 ‎宇宙のエネルギーを 直接 ‎ワチーニの細胞へと放出し 302 00:37:38,440 --> 00:37:41,160 ‎全ての行動や思考 303 00:37:41,920 --> 00:37:43,640 ‎動きの原動力となる 304 00:37:51,160 --> 00:37:54,000 ‎恒星から細胞までの ‎旅は終わった 305 00:37:59,000 --> 00:38:01,160 ‎宇宙を照らすエネルギーが 306 00:38:02,560 --> 00:38:05,960 ‎ワチーニと子どもの ‎命をつないだ 307 00:38:18,920 --> 00:38:20,200 ‎新緑の時期には 308 00:38:21,160 --> 00:38:22,880 ‎飢えは過去のもの 309 00:38:32,880 --> 00:38:36,920 ‎セレンゲティ全体で ‎エネルギーは変換され続ける 310 00:38:41,320 --> 00:38:43,960 ‎一つの命から ‎もう一つの命へと 311 00:38:45,640 --> 00:38:48,480 ‎生態系全体を育んでいく 312 00:38:51,400 --> 00:38:54,320 ‎太陽は 究極の供給者 313 00:38:55,600 --> 00:38:58,160 ‎全てが ‎恒星光の恩恵を受ける 314 00:39:03,680 --> 00:39:07,320 ‎問題は 太陽を ‎養うものがないということ 315 00:39:10,920 --> 00:39:12,800 ‎50億年も経てば 316 00:39:13,640 --> 00:39:15,280 ‎エネルギーは尽きる 317 00:39:19,840 --> 00:39:21,560 ‎コアの崩壊につれて 318 00:39:22,520 --> 00:39:24,000 ‎太陽は拡張し… 319 00:39:26,680 --> 00:39:28,240 ‎赤色巨星となる 320 00:39:31,520 --> 00:39:36,560 ‎それは 内惑星である ‎水星と金星を飲み込み 321 00:39:41,800 --> 00:39:43,840 ‎地球に向かい膨張を続け 322 00:39:44,720 --> 00:39:48,080 ‎その強大な引力で ‎月を粉砕し 323 00:40:02,280 --> 00:40:05,280 ‎地球の周囲に ‎月の石の輪をかける 324 00:40:10,480 --> 00:40:13,560 ‎地球の運命は未知であるが 325 00:40:18,440 --> 00:40:21,720 ‎最後の日の出は ‎見ることになるだろう 326 00:40:25,640 --> 00:40:28,600 ‎外層の爆発直前 太陽は⸺ 327 00:40:30,320 --> 00:40:32,160 ‎最期の呼吸をする 328 00:40:40,040 --> 00:40:43,840 ‎後に残るは ‎消えかけた残り火のみ 329 00:40:44,960 --> 00:40:46,560 ‎白色矮星だ 330 00:40:46,640 --> 00:40:52,120 ‎地球と同程度の大きさで ‎広大な雲に覆われながら 331 00:40:55,400 --> 00:40:57,000 ‎宇宙に向けて光る 332 00:40:58,120 --> 00:41:00,280 ‎私たちは ここにいたと 333 00:41:04,360 --> 00:41:05,480 ‎だが 当面は 334 00:41:06,360 --> 00:41:09,560 ‎太陽は 私たちを ‎照らし続けてくれる 335 00:41:12,960 --> 00:41:16,200 ‎これから先 ‎何十億年もの間も 336 00:41:17,200 --> 00:41:22,280 ‎全ての生命に不可欠な ‎エネルギーを与えながら 337 00:41:30,120 --> 00:41:32,240 ‎次回のエピソードは… 338 00:41:33,880 --> 00:41:35,640 ‎光り輝く恒星も 339 00:41:38,080 --> 00:41:39,760 ‎巨大なブラックホールも 340 00:41:40,920 --> 00:41:43,960 ‎綱渡りを学ぶチンパンジーも 341 00:41:44,040 --> 00:41:46,280 ‎全ては時間を必要とする 342 00:41:48,080 --> 00:41:51,920 ‎この謎多き領域の何を ‎我々は知っているのか 343 00:41:53,200 --> 00:41:58,280 ‎なぜ 全てのものが ‎過去 現在 未来を持つのか 344 00:41:59,480 --> 00:42:01,400 ‎時間が存在しなければ 345 00:42:03,520 --> 00:42:04,640 ‎我々は存在し得たのか 346 00:42:36,880 --> 00:42:38,880 ‎日本語字幕 松澤 奈月